(2023年 夏)
満月の翌週
はじめに言われていた一番早い手術日は、カレンダーを見たら満月だった。
満月は怪我しやすいとか出血しやすいらしい。
ちょっと不安だけれど、それでもいいかと思った。
けれど、翌週も空いている日があったので満月ではない日に予約出来た。
アメリカは医療費が高いからか
乳房全摘手術で1日入院
そうで無ければ、日帰りらしい
そして、「2㎜もない小さいモノをキレイさっぱり撲滅してくる」と手術前に娘にメールをした。
当日
病院には朝6時前に到着、手術開始は7時半。
家を出る時はまだ薄暗い。
夏の朝6時 ⇩ 冬じゃなくてよかった。
駐車場に着いた時、歩いていた人に日本語で挨拶されたのでビックリしたけれど、通訳さんだった。
10時半までいる予定になっているという通訳さんに、長時間なので申し訳なくなる。
今日はブレストセンターではなく、Minimally Invasive Surgery Center 低侵襲手術センターへ。
小さくても人生初めての手術だ。
緊張していないつもりだけれど、昨夜は眠れなかったかも。
受付で2つの事にサインをし、その後背の高いナースに呼ばれ、控えの部屋へついて行く。
英語が出来ないので、とにかく今日も笑顔でいるしかない。
手術着に着替えるんだけれど、、、
全裸になって上だけの手術着 (下の下着も脱いだ)、ヘアキャップをして、靴下を履いた(靴は脱いだ)
手術途中、粗相したらどうしようと気になり
特大生理用品を準備していたけれど、どうなる?
次から次へとたくさんナースが来て、いろいろ質問、同じ質問、バイタルチェック、点滴、痛み止めを飲んだりしていた。
開封したての大き目の消毒ガーゼ2枚をナースから差し出され、左脇から乳房を自分で拭くように言われたのでやってみた。
前日や当日に家でのシャワー時に消毒用石鹸を使用し、
清潔なタオルや下着、シーツというのは必要ないようだ
薄いけれどあったかいブランケットと ⇩ この血栓予防の「ふくらはぎマッサージ」は気持ち良かった。
水分や薬用の点滴の針を刺す時に優しいナースが、私の手や腕をマッサージしながら「Tiny」とつぶやいていた。
「Tiny」とか「petit」と言っていた。
それをイチイチ訳してくれる通訳さん。
他に次から次からナースが来て質問されたことで、気になった3つは
- 配偶者とは円満か? 自らを傷つける気になるか? って聞かれビックリした。
- 何かあったら、輸血していいか?と聞かれたけど、突然聞かれても、、、OKと言ったけど
- 遺言書はあるか? (これはアメリカでは普通の事で、多くの人が若いうちから書いているらしい)
子ども達には2年前に簡単な遺言済み
ここで夫が控室に登場。
病院内にa-ha の♪Take on Me や Whitney Houston のHow Will I Know ♪が流れていて、やたらと明るいぞ。
1985年懐メロ特集でもやっているのか???
ドクター登場
元気で明るい執刀医の女性ドクターが、今日も元気に登場してきた。
初めて会った時も、バタバタしながら登場で一瞬ナースかと思ったけれどドクターだった。
今日もバタバタ、しかも牛乳瓶の底のようなメガネで、ちょっとコントのようだ。
思い出すと笑えてくる。
ドクターがいろいろ説明してくれる。
それは紙でも渡すと言っていて、最後にサインを私の乳房に直にしていた。
ドクターに笑顔で「nice to see you again」と言ったら、何か言いながら何を言っているのかわからないけれど、手を握ってくれた。
次に麻酔科医とナースが来て、いろいろ説明があり「今日一日は大事な書類にサインしてはいけない」と言っていた。
質問があるか?と聞かれた時に、夫が私の体重を確認していた。
全身麻酔だから、やっぱり怖い。
分量間違えたら大変。
しかもキロkgじゃなくて、ポンドlbsだからね。
そして最後に「夫婦でハグを」と言われたけど、、、軽く背中をたたく程度の日本人老夫婦。
夫はその後、待合室でこんな紙を渡されて
⇩こんな画面を見ていたらしい
手術室へ
ベッドは背もたれが起きたままの状態で運ばれていく。
通訳さんも手術着になって一緒に。
初めて手術室へ入った。
広い手術室に既に7人くらいナースが待機していた。
1人ずつ紹介されるけれど、「Hi」「Good morning」くらいしか言えないので、とにかく笑顔。
ベッドから隣の手術台に自分で移って、上の照明を見た時に初めて「うー怖い」と思った。
でもそう思わないように、とにかく笑顔。
麻酔科医が鼻にチューブを入れ、「だんだん麻酔が効いてきます」と言っている。
それでも笑顔で「まだ起きてます」なんて言って
左側には元気なドクターがいたのを覚えているけれど、そこまで。