山崎豊子のデビュー作
明治時代後半から戦後までの
親子二代にわたる大阪船場老舗昆布店
実家がモデルの話
一代目は無一文から立派になり
けれどその財産は戦争ですべて失い
二代目も無一文から始まり立派になる
親子共々すごい商人
酢がきいた昆布を薄くふんわり削る描写が
キレイで美味しそう
それには長年の努力と腕が必要で
その前に
良質な昆布かどうか見分ける目も大事
江戸時代に北海道から北前船で
昆布が大阪に運ばれてきたという
水路が発達した「天下の台所」大阪には
船で日本各地から米や特産物が
届いていたのが改めて勉強になったし
当時の社会情勢や老舗の様子や
大阪・関西はなぜ昆布の食文化なのかがわかった
丁稚の修行や
仕事の長時間労働の厳しさも辛いし
戦後の新円切り替えで
苦労して貯めたお金が
無価値になるのは辛い
辛い事が多い時代に
さらに
妻が無事出産しても女児だったら
「阿保、手をついてあやまらんか」って
その頃の日本って
日本の女性って大変だったんだな
最後に東京と大阪の経済の発展の違いが
書かれているのが興味深かったし
老舗・暖簾を守る苦労や何度も来る危機を
乗り越えていく大阪商人の姿に
圧倒された本だった