信州・松本にある「24時間、365日対応」の病院の内科医が主人公の小説。
北アルプス、松本城、町並みと景色を思い浮かべながら読んでいた。
地方の病院の医師不足で忙殺される医師たちと、
それを助ける看護師の働きぶりや患者に接する姿勢に心打たれた。
こんなお医者さんがいてくれたら終末期も辛くないとそう思えるような気がする。
現役医師が作者なので説得力がある。涙が出る。
主人公の一止を囲むまわりの人達との会話も面白い。思わず吹き出す。
出だしは古臭い難しい口調が気になったけれど、
それがだんだん楽しくなってきて主人公が好きな夏目漱石の本を全部読みたくなる。
合間に登場するコーヒーや日本酒が美味しそうだし楽しいひと時だ。
何より奥さんを大事にしているのが素晴らしい。
そして妻のハルも夫を支えている。
言葉を交わさなくても夫の様子でわかってしまう妻のハルさん。
激務だけど幸せな主人公の一止だな。
さわやかで温かく安心して読んでいられる。