人 生 後 半 を 楽 し み た い

傲慢と善良 / 辻村 深月

恋愛ミステリーというジャンルになるらしい。

昔はミステリーが好きで読んでいたけれど、今はドキドキワクワクに耐えられる体力が無いので恋愛モノもミステリーも苦手だ。

主人公は2人で、生まれも育ちも東京でモテていた西澤架39才と、

群馬出身の何事にも消極的で親の言いなりになっている坂庭真実35才の話。

前半は架の視点で後半は真実の視点で話が進んでいく。

父親の急逝で会社を継いだ架は、30代前半の時に6才下の恋人にフラれている。

結婚や出産、育休とちゃんと将来を考えている恋人に結婚を迫られ、まだ早いとプレッシャーに感じ、怖いと思い、仕事が落ち着いたらいつかは、、、と伸ばし伸ばして、気がついた時には彼女に「もう遅いよ」と言われ、彼女は別の人と結婚してしまう。

ここで結婚しなかった大後悔をいつまでも引きずっている架。

その後、長く大変だった婚活から真実とつきあい、その後ストーカー事件のようなことが起こり、架の家で一緒に生活を始め、婚約し結婚式まで数カ月の時に突然失踪してしまう真実。

ミステリーっぽいのは出だしだけだった。

失踪した婚約者を見つけるために群馬に向かい、真実が利用し失敗した結婚相談所を訪ね、彼女の過去を探る長い試練が始まる。

真実も婚活が上手くいってなかった。

結婚相談所を運営している小野里という高齢の女性の言葉が強烈で、ここで現代の結婚がうまくいかない理由の傲慢さと善良さが出てくる。

今の時代の婚活で苦労している若者に、こっちまで苦しくなって読んでいてナンダカ疲れた。

そしてそこまでして結婚しなくてもいいんじゃないかなと思ってしまった。

一昔前なら、「適齢期に結婚」していないとちょっと、、、だけど

今の時代なんなら結婚しない方が人生楽しめるって感じで、無理して結婚しなくても、、、と思ってしまう。

日本の少子化を加速させてしまうけれど。

話が動き出したのは後半になってから、架の学生時代からの癖がある女友達が酷い。

40才手前の大人がこれから結婚する幸せな人に架の昔の彼女の話をし、架が点数つけていてその昔の彼女より劣っていたよってわざわざ真実に言う。

パーセント(点数)をつけた架も悪い。

ここでも大後悔する架。

若くない男性にとっては結婚ってそれほど考えてしまう一大事なんだという事は理解出来た。

それは女性も同じだ。

それにしても酔っていたからと言い訳している女友達が酷すぎる。

だから酔っ払いは嫌いだ。

結婚相手には友達がいない人の方がいいかも。

「人生で一番刺さった小説」と評判らしいので読んでみたけれど、これは主人公の親世代の私より20代~30代が読んだ方がいいと思った。

今の日本の若者の上手くいかない婚活や、都会でも田舎でも若者の生きづらさに読んでいてとにかく疲れた。

それより主人公の女性の母親のような狭い価値観ではなく、結婚相談所の運営者の女性のような高齢になっていても若い脳、柔軟な頭でいたいと思った本だった。

それでも最後が思いがけずよかった。

もう一度結婚式をしたくなった。

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