今週のお題「わたしの実家」
ドイツのどんより天気にやられダメな冬の日。
思い出す狭い2DKの団地の一番上の5階。
日当たりは良く、前の公園には桜の木があり、遠くには富士山が見えて眺めは良かった。
還暦近くなり目に浮かぶのは冬の夕方キレイに見えた黒いシルエットの富士山。
懐かしい。
親は亡くなり実家はもう無い。
母が亡くなったあと、父はたくさんの物を処分した。
あれから四半世紀以上も経って先日自宅ガレージの掃除をしたという弟から、送られてきた母や祖母が若い頃の写真や自分達の子どもの頃の写真。
その中に百恵ちゃんや聖子ちゃん、ユーミンのLPレコードや録音したカセットがあった。
処分前に弟が持ち出していた。
これも懐かしい、懐かしすぎる。
一番思い出すのは古い団地の単ガラスの窓からスースー冷気が入る寒い冬。
狭い家なのでそれまで使っていた炬燵は、こたつ布団を掛けないで使う事になり小さなストーブしかない。
高校受験で一応勉強している私に不要になったこたつ布団の上掛けで、踵まである腰巻のようなゴム入りの長いスカートを母が作ってくれた。
洋裁が上手で子どもの頃の服は、ほとんど母の手作りだった。
家で使うので形も柄も良くないけれど暖かい。
あれから40年以上過ぎて今、ドイツで使っている
あちこちに引っ越ししてもずっと持っていたようで、持っていた事も忘れていたけれど引っ越し荷物に入っていた。
40年経ってもゴムが伸びていない。
ギャザーがキレイに入っていて頑丈に出来ている。
今住んでいるのはドイツの快適な家だけれど、暖房をかなり低めの温度設定だと寒い日は寒い。
この長いスカートをはいていると、あの団地の寒かった家を思い出す。
貧しかったので良くない思い出の方が多い。
その中で僅かな懐かしい記憶。
今、ドイツの暖かい家に住んでいるからか、余計に思い出す子どもの頃の寒かった家のこと。