信州・松本にある「24時間、365日対応」の病院の内科医が主人公の小説。
うー 今回も泣いた。
『神様のカルテ』~『神様のカルテ3』のシリーズの前の段階の話で、主人公の一止の他、これまで登場した人々の話が4つの短編で描かれている。
初めの章の「有明」
医学生の大学生活最後6年生の夏
主人公の友達と彼女の話が柱だけれど、医者を目指して頑張っている若者の中に、
52才の最高齢の学生がいたことにびっくりした。
社会人として管理職までなった人物が医学部へ。
読んでいると「私もまだまだ何か頑張れるんじゃないか」と思えて元気が出てくる。
「彼岸過ぎまで」
今まで暗く意地悪そうだった病院の事務長の悲しい話があった。
病院というのは医師や看護師だけではなく、裏方の病院事務も大切な医療の一端という事がよくわかった。
それにしても妻に先立たれる夫というのは悲しい。
「神様のカルテ」
一止の研修医として初めてだらけの日々の様子。
末期癌患者に戸惑いながらも、寄り添う必死な姿を応援したくなる。
国語の教師だった患者とその家の書斎に並ぶ本の間で、
「本」についてのやりとりの話が良かった。
それにしてもタバコ吸い過ぎお酒コーヒー飲みすぎの医師たちに驚く。
「冬山記」
この章は涙が止まらなかった。
主人公の妻になる前のハルさんは可愛らしい女性写真家と思っていたけれど、
世界中の名峰を単独行出来る山岳写真家だった。
生きる気力を失くし、悪天候で遭難している人を助け出し、再び生きる気にさせてしまう。
すごい体力気力決断力忍耐力の持ち主、強い。
一止の大切な奥さんになるハルさん、孤独だったハルさんに帰る場所が出来て良かった。
山小屋で出会う夫婦が幼い子どもに先立たれて弔い登山をしているのが辛い。
4話とも全て良かった。
神様のカルテは読後いつもさわやかで元気になれる。また読もうっと。