信州・松本にある「24時間、365日対応」の病院の内科医が主人公の小説。
『神様のカルテ3』から2年後、
地域病院から大学院生として大学病院に移り、娘も生まれて父となった主人公。
医師になって9年目。
難しい患者の主治医の他、大学院生、後輩の指導、実験と更に激務になった。
真夜中でも呼び出しがあり、駆けつけ治療にあたる。
長時間勤務休み無し、そしてびっくりするほど薄給。
29才の若い母の膵癌患者の治療を巡り、準教授と対立してしまう。
以前勤務の地域病院より組織、ルールに縛られる。
窮屈な大学病院の中でも主人公らしく患者の気持ちに寄り添う。
「幼い子と夫との最期の日々を家で過ごしたい」という若い母親の気持ちが切ないツライ。
泣いてしまった、何回も泣いてしまった。
大学病院は難しい病気で入院している患者が多い。
その中でも先生を信頼して強い気持ちでひたむきに病と戦い生きようとする患者。
私もいつか病院にお世話になることがあったら、強い患者でいたいと思った。
主人公が敬愛する夏目漱石の「真面目とは真剣勝負」が心に残る。
いつだって真剣な主人公にぴったりだ。
どんなに過酷で激務でも妻のハルが支えてくれる。
仲間がいるし、増えたし、主人公のプライベートは幸せ。
毎回の事だけれど、信州の美しい風景、自然、季節の移ろいの描写が素晴らしい。
合間に出てくる日本酒の解説も楽しみだ。
お医者さんてすごい。読み終わってしまうのがもったいない。
ずっと読んでいたい。毎回そう思う。
このシリーズもう一回初めから読みたい。
読んでみよう。